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10万円チャレンジ!

 まず初めに断っておくと、10万円というのは嘘ではないが本当でもない。例の給付金支給の際に、ボードゲーム業界にもいくらか還元を、ということで特価になっているゲームをイエローサブマリンで買い漁った。ほぼ「安い」だけが理由で買ったそれらのゲームを一通り遊べたので、ここでまとめておこうという記事である。果たして買ってみてそのゲーム群は良かったのか悪かったのか、それらを楽しめたのかつまらなかったのか、ボードゲームの未来は明るいのか暗いのか(は別の記事に譲るとして)、どこか福袋購入報告にも似た今回の買い物の総まとめである。ちなみにもちろん10万円全部を注ぎ込んだわけではない。もしも10万円総てをボードゲームに使っていたとしたら、この直後に壊れた仕事用の鞄の購入に支障が出て、未だに壊れた鞄を抱えて通勤していたかもしれない。しかし、ギリギリ嘘ではない限りで最大のセンセーショナルな見出しを付けるとアクセスが良くなるのは世界中のマスコミが日々実践しているので、倣ってみた。

 

◆◆Massilia/マッシリア◆◆

ルールを読んだ限りではまあまあ普通だったのだが、あまり擁護するところはない。とにかく邪魔するアクションが強力で、リソースを貯めているプレイヤーを強烈に罰する。なので、最大効率とか、今やりたいことをやる、というのはゲーム上間違ったプレイで、邪魔されてもほどほどの損害で済むように、ゲームをリードできるわけではないが、邪魔されても崩れないような自重を持ってゲームを進めていく必要がある。のだが、そんなプレイをしなきゃならないゲームが面白いわけないだろがーーー!!!

カードの効果もランダム性が強すぎて、弱いカードは1アクション分の効果、強いカードは2アクション分の効果があって、引き運が2倍違う。それで序盤引き離されても、資源を貯めこんで一旦しゃがんで逆転を期す、というのが前述の通り封じられてしまっていて、どうにもならない。他人の邪魔が好きで好きでどうしようもなくて、積んでは崩され積んでは崩されという様を1時間以上ゲラゲラ笑ってプレイできる環境なら・・・もしかしたら・・・。

といってもこれ、BGGで5.5もついてるのだな。お!ついに4点台のゲームに現実世界で出会っちゃたんじゃない?これは、なんて期待して確認に行ったのに、世の中にはそこそこそんな環境な人も居るということなのか・・・。

 

◆◆Symphony/シンフォニー◆◆

6人までプレイ可能なのは素晴らしい。とにかく世の中には4人までしか遊べないゲームが多すぎて、5人以上集まることが度々あるうちのような環境では重宝する。

システム的には特に革新的なこともなく、どちらかというと制限や条件が多すぎる方だとは思うのだが(そのためルール解読には非常に苦労したが)、オーケストラの公演というテーマとすべてがちょうどよくマッチしていて、プレイ中はすごく楽しい。

”合唱団はやっぱり最前列に置いてなんぼでしょ!”とか、

”みんな終わったのにドラムだけあと4ターンも叩き続けてるよ!”とか、

ゲーム中の現象が、自然と背景世界に置き換えらえて会話されるのが楽しい。いわゆるヴォーソス的な楽しさに溢れている。反面、メルヴィン的な魅力は前述の通りそれほど無いので、ここはこうしておけば良かったか、というような感想はあまりない。

そういう意味では、初対面の人と遊ぶにはあまり向いていないんじゃないかな。ゲーム中に弦楽器ばかり押し付けられたことを、オーケストラ公演中の何かに、くだらない会話で置き換えられる環境下でもっとも真価を発揮するゲームだと思う。

 

◆◆Neptun/ネプチューン◆◆

今回の中では、まあまあの掘り出し物だったと思う。地中海を船で回るお使いゲームで、ルールも簡単な割にはゲーム中もしっかりと悩める。最大効率を常に考えながらも気まぐれな地中海の風向きに翻弄されるので、人によってはちょっと運不運の比率が高すぎると感じられるかもしれない。

 

◆◆Reworld/リワールド◆◆

前半部分と後半部分で分かれているのが特徴のゲーム。惑星エウリュビアへの集団移民を目指し、前半でユニットをアサラっぽいカードの使い方で取っていき、自分の宇宙船に積み込んでいく。後半では「積み込んだ逆順に」ユニットを入植させて得点を得ていく。なので後半部分の順番を考えながら、前半部分でユニットを取っていかなければならないのが、悩みどころ、考えどころ。

やっている間は結構面白かったけど、終わってみると不思議と”もう1回!”とか”あそこはああしておけば・・・”といった感想が誰からも出てこなかった。ある意味不思議なゲーム。

おそらくだけど、ユニットの出てくる順番のランダム性と、手札として配られるカードのランダム性が重なってしまって、”考えてもどうしようもなくない?”といった状況になってしまっているのではないか。どちらか一方が固定だったら、ユニットの出てくる順番が決まっているか、ゲーム中使う手札が最初に全部配られているかといった様に、どちらかが固定だったら、”次こそは!”と思えるゲームになっていたことだろう。

とはいえやっている間はそれなりに楽しかったので、忘れた頃にもう一度遊んでもいいゲームだと思う。

 

◆◆Forum Trajanum/フォルム・トラヤヌム◆◆

え・・?君、いつかのスカウトアクションで高評価受けてなかったっけ・・・?何故こんなところで特価に・・・?と衝撃を受けて購入したが、なるほど!これは話題にしにくいゲームだ。

まず背景世界とシステムの繋がりが悪いので何とも説明しづらい。トラヤヌス帝が記念碑を建てようとしている。ふむふむ、それの建設に携わるのかな?いや、各プレイヤーは受け持ったコロニア都市を発展させる箱庭ゲームだ。ふーん、発展させるとどんな都市が出来上がるのかな・・・?ってこれ勝利したんですが使いきれなかったタイルとか余りまくって、終わった時の見た目がすごい汚いんですが・・・、え?得点は並行して中央ボードで建てられてる記念碑もメイン得点源なんですか・・・。ふむふむ、その得点は個人ボードの配置の美しさに関係あるとか、逆に高得点取るようにすると自然と整然としていく訳でもない、と。さらに個人ボードに配置するタイルの約半分は白黒印刷のタイルだと。

・・・・・・。

いや、1つ断っておくと、面白いゲームですよ?続けて2戦プレイしたし、終わった後もしばらく戦略について色々と談義してましたし。

でもね、今はタピオカミルクティーインスタ映えの写真を撮るために買ってそのまま捨てる時代ですよ?さすがに少しは終わった時の見た目を考えないと、これではツイッターに写真を上げて「スカウトアクション高評価のゲームを日本語版発売前にプレイした俺ってどう?ねえ、どう?」ってする気も起きなくなくなっちゃいますぜ・・・。

あとはやっぱり記念碑建設とコロニア都市建設が背景世界でつながってなくて(どう考えても現実世界ではそんなん別々にやるでしょ)、システム的にだけ繋がっているのがどうしてもしっくりこない。だから、”今日はコロニア都市造ったぜー”とも、”記念碑建立にもっとも功績をあげて勝ちました”とも言えず、何とも発信しにくい。もう少し上手い背景世界を見つけられていたら、もっと楽しいだろうしもっと話題にもなっていただろうな、と惜しく感じるゲームでした。

 

さて、「安かったから」という理由で購入したゲームは以上。(本当は『マラカイボ』も一緒に買ったけど、これはもともと給付金があろうがなかろうが、安かろうが定価だろうが買う予定のゲームだったので除外。すごい話題になっている程のゲームなので、プレイしたら別記事で書くこともあるかもしれない。)

全部プレイし終わった感想としては、「良いゲームにも巡り合えた」というポジティブな感想も持ったけど、買わなきゃよかったかな、というネガティブな感想も2つあった。1つは、「まだ一緒に買ったマラカイボ遊べてねーー!!!!」というもの。特価ゲームを買い漁っていた時はちょうどコロナ禍で海外からの荷物の発送も止まっていたが、その後普通に到着し始めて、マラカイボの他にも色々と積み重なってしまった。もう1つのネガティブな感想は、「ルールブック読むのがきつかった」というもの。ルール多めの中~重量級ゲームを好むのも原因なのだが、いつもは「よっしゃ、これ今週遊べるぞー、やりたかったんだよなー」というモチベーションで克服していた。だが当然「安いから」という理由だけで買ったゲームに同じ水準のモチベーションは無いので、ルール読んでる時がいつもよりきつかった。とくにやたらと配置制限やら配置ボーナスやらの多かったシンフォニー、お前のことだぞ。

 

というわけで、今までも福袋(のようなもの)は買ったことはなかったけど、これが多分最後。二度と福袋は買うことは無いだろう。買う前からもワクワクし、買ってから実際にプレイするまでモチベーションを高め、そして実際のプレイがそんなでもなかったとしても、でもせっかくだから売らずに取って置こうかな、と思えるゲームを買う以上の満足感はない。今回の経験からそう感じた。