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A War of Whispers/ウォー・オブ・ウィスパーズ

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ウォー・オブ・ウィスパーズ

 Kickstaterで見かけた時から欲しいな、と思っていたのだが、お前の国には送らねーから!と言われたので大人しくリテール版を待っていたところ、ありがたいことにケンビルさんが日本語版を出してくれた。

 自粛自粛で実際のプレイは購入からかなり経ってからとなってしまった。

 

 世界の覇権を賭けて戦う5つの帝国。プレイヤーはその五帝国を裏から操る秘密結社を担当し、密かに肩入れした帝国に世界を牛耳らせるべく、各帝国を操るアクションを実行する、という、ルールを読んだだけの段階ではものすごく面白そうだった。ただ、実際に遊んでみると・・・ということはボードゲームには往々にして良くあることで、自分が実際にこの目で見た物よりも世間の評判の方が大事だよね、と痛感する毎日なのである。

 さて、実際に遊んでみた感想としては、”ポテンシャルは間違いなく高い”が、”明らかにテストプレイとデベロップが不足している”である。このポテンシャルはプレイメンバーの勇者(個人名)が「インペリアルより好き」と言うくらいの遙かな高みにあるので、こんなのよりもウヴェゲー遊ぼうぜ、と切って捨てるには勿体ない。そこで、このゲームのポテンシャルを最大限に引き出すヴァリアントを考案したので、これから遊ぶ方には是非採用を検討してもらいたい。

※このヴァリアントは一度も遊んだことのない方を対象にしたファーストゲームヴァリアントであり、すでに何回も遊んでいる方のみで遊ぶ場合は採用することに何の意味もないのでご注意を。最初はこのヴァリアントを採用し、慣れるにしたがって徐々にこのヴァリアントを無くしていって、最終的にはルールブック通りのルールで思う存分遊ぶためのヴァリアントである。

 

ヴァリアント① カード保持枚数 5→1

 おそらくこのゲームで最もテストプレイの「質」の不足が感じられるのが、このカード部分である。慣れた人だけで延々とテストプレイを続け、一度も初心者に入れ替えてのテストプレイをしなかったのだろうな、と確信できる。

 初心者が5枚(+そのラウンド中に手に入れた数枚)を持つとどうなるか、というと、慣れない盤面と初めて見るカードの無数の組み合わせから、もっとも効率的な使い方を考えようとして膨大なダウンタイムを生み出すことになる。序盤は使わず溜めておいて、もっとも重要な最終ラウンドで全部使う方が良いことくらいは初心者でも分かるので、これは必ず発生する事態となり、このゲームの評価が下がることがあるとすればその最たるものがこのダウンタイムになるであろうと想像できる。

 そこでこのヴァリアントを採用して保持上限数を1にすると、まず直接的に最終ラウンドでのカードがらみの長考がなくなる。さらに、序中盤に手に入れたカードをゲーム中にちょくちょく使うことになるので、皆が自然とカードの効果を理解できていく。

 そうしてプレイ回数を増やしてカードの効果を覚えていくたび、1→3と増やしていって、最終的にルール通りの5枚にするのが良い。

 先にテストプレイの質は低いと言ったが、量の方は信頼できるものだと感じている。カードが生み出すイレギュラーな面白さが減っても、その他のゲーム骨格部分はそれだけで十分面白く、初心者に満足な体験をさせる完成度であることは保証する(との世間の評判の方を大事にするプレイヤーの言)。

ヴァリアント② 各帝国ごとに1枚カードを公開しておく

 カード1枚は3種類の効果を持っているが、そのうち2種類は各帝国ごとに共通である。そのため1枚ずつ公開しておけば、カード効果のうちの66%は手に入れなくても知っており、初めて手に入れたカードを読み込み使い方に悩む時間が33%になる。このヴァリアントも、ゲームに慣れてだいたいのカード効果を覚えた段階で無くせばよい。

ヴァリアント③ 忠誠マーカーの入れ替え数→ゲーム中1回のみ

 これも、1ラウンド後のゲーム盤面の状況が想像もつかない初心者にとって、無駄なダウンタイムを生み出さないためである。また、ヴァリアント①でカード保持数を絞ると、カードを大量に使った最終ラウンドの大逆転の目論見(こんな目論見は初心者は立てられないのだが)がないと、全プレイヤーが勝ち馬に乗って似たような支援構成になってしまうのを防ぐ目的もある。このヴァリアントも、カード保持枚数を回復するにしたがって無くしていくとよい。

ヴァリアント④ カードを使用するたびシャッフル→山札の下に入れる

 このヴァリアントだけは初心者向けではなく、恒久的な採用を支持するものである。単純な話で、カードを使うたびにいちいちシャッフルするゲーム上の意味は極めて薄い。使ったらそのまま山札の下に入れて、時間を短縮できる。テストプレイヤーとして延々とやり込み続け、特定のカードが今は誰にも引かれない状態を利用して効果的なアクションを選択できる高みにまで達してしまった末に、無駄な時間を使ってまでも必要と感じてしまったルールなのであろう。

 

以上、初めて遊ぶ際に推奨するヴァリアントである。このゲームは何回も遊んで慣れるたびに面白くなっていくゲームだと確信しているので、初プレイの段階で低評価をつけてお蔵入りさせるには勿体ない。このヴァリアントが、末永く遊ぶために役立てば幸いである。

あとは、やっぱりKickの豪華版が欲しかったなぁ。箱絵もここ数年で一番かっこいい。

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