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電力会社拡張:株式上場

 ご存じフリーゼの代表作『電力会社』の拡張をようやくプレイできた。この拡張を購入したのは何年前だったか・・・、リサイクルCUBEさんがまだあの薄暗いマンションの一室で営業していた時に購入したものだ。一緒にレースフォーザギャラクシーの拡張とエンデバーを購入したのも覚えている。その後リサイクルCUBEさんの閉店という衝撃もあったが、ボードゲームカフェの一角で復活したようなのでまた機会があったらお邪魔したいと思っている。でも、あの狭い部屋の天井に届く棚にぎっしりと積まれたボードゲームの塔がいくつもあるあの空間、いつかまた行きたいと思っていたあの空間は、本当に居るだけで楽しかった。

 

 さて、この拡張は世間でもさんざん言われていることかもしれないが、インペリアルを想起させられる。電力会社をプレイするのがプレイヤーから会社に替わって、プレイヤーはその会社の株を売り買いするのだ。たしかに「電力会社だ」と感じさせつつ、基本ゲームとはガラッと変わったプレイ感で、ここまで発展/変更させた拡張は初めての体験だった。

 電力会社の基本ゲームは一時期我が家では良くプレイされた。Amazon.comにもAmazon.deにも、もちろんKickstarterにも手を出していなかった頃、つまり積みゲーの消化とか考えずに済んでいた頃に何回もプレイした。6人プレイ可能というのが重宝したし、ゲームのシステムが強力に脱落者を引き上げるので、初心者と経験者混ざってのプレイにも重宝したからだ。我が家では初心者と経験者の差を(あまりプレイヤーに感じさせることなく)埋めるのはゲームシステムの大きな長所で、それの無いゲームは例え面白くても半ば封印されてしまう。シヴィライゼーションとかツォルキンとかまたやりたいゲームはあれど、なかなかプレイする機会は回ってこなくなってしまうのだ。経験者と初心者混ざった状態でそれらをプレイするくらいなら、誰もが初見の積みゲーをプレイしたほうが良い。

 そんなわけで、電力会社の基本ルールはおろか、発電所の強弱や競りの相場観、アメリカマップの陣取りの具合など、誰もがそれなりに習熟した状況だったので、ルールの複雑さに溺れることなく拡張の面白さを堪能できたと思う。もちろんインストも簡単に済ませることができた。逆に言うと、全員が3回は基本ゲームを遊んだ後でないとお勧めできない拡張だな、と思った。電力会社は追加マップや発電所などもあるので、基本ルールの次に買う拡張をわざわざこれにすることもあるまい、と思う。

 

 実際のプレイでは6人それぞれが初っ端からそれぞれ別の会社を担当しだしたが、正直これはいかにもこの拡張初心者なプレイだったな、と1回やって気が付いた。1人よりも2人、2人よりも3人で同じ一社に肩入れしたほうが当然強力な会社になり、配当金も多くなるので、6人プレイだったら序盤は3対3で2社だけ立ち上げるのが王道だったようだ。実際途中からブルー会社に3人が相乗りした状況になり、ゲーム結果はその3人が上位3人になった。また、初期株価の高い会社の株を少数買うよりも、安い会社の株を沢山買うプレイングの方が明らかに良い。売り買いする手札が多ければ多いほど、(うまく立ち回れば)相場の変動からより多く利益を得られる。

 なので、最初はブルー会社とブラック会社を3人ずつで立ち上げ、それぞれ邪魔をするためだったり、株の売買の立ち回り具合で別の会社も立ち上げていく、といったプレイを定石で知っておく必要があった。何故なら、上位3人と下位3人はほぼダブルスコアの差が付いてしまったからだ。そう、もう1つ基本ゲームからの大きな変更点として、脱落者を引き上げる例のシステムがこの拡張ではまったく機能しないのだ。引き上げられるのは脱落した会社であって脱落したプレイヤーではない。そういった意味でも、やはり余程基本ゲームをやり込んだプレイヤー達のための拡張だった。もしも電力会社は結構やったけどさすがに少し飽きたなー、というグループがあれば、この拡張は是非にとお勧めできる。