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Rune Stones/ルーン・ストーン

 去年年末の「2019年 来年もまたやりたいボードゲームTOP5」で選んでおきながら、この10月になるまで遊んでいなかったボードゲーム。あと2カ月も経たないうちにまた、「来年もまたやりたいボードゲームTOP5」を選ぶ時期が来てしまうのだが、それまでに遊ぶことが出来て本当に良かった。ちなみにまたやりたいTOP5のうち実際に今年もう一度遊んだゲームはこれで最・・・・・初!なんと最初!ひどい見出し詐欺もあったものである。コロナ、そうコロナがあったからなぁ。これさえなければなぁ。他の4つも遊ぶ気満々であるのは今でも変わらないのだが、Barrageは5月に来る予定だった拡張が来たら遊ぼうとずっと思っていて未だ来ず、Tussie Mussieは手帳サイズが災いしてボドゲ箱の隙間に隠れてしまい、Smartphone Inc.は拡張のシュリンクがまだ解かれてなく、Heaven&Aleは新作の波に押し流されてしまった。何だいつものことか。 

 まあ、めでたくも稀なことに2回目3回目と続けて遊べたのと、ちょっとメモしておきたいことがあったのでブログに残しておく。

 

 まずは拡張について。3回目にして初めて拡張『Nocturnal Creatures』を入れて遊んでみたのだが、完全に空気だった。新しい戦略が生み出されるわけでもなく、何かを補正するわけでもなく、ただ処理のややこしいカードが加わっただけだと感じた。セットアップが面倒くさくなるだけだと思うので、この拡張は封印となるだろう。

 もう1つ封印しようと決断にいたったのが、「Extra Power Point」のRune Stone。というのも、3回のプレイが3回とも、これを軸にプレイしたプレイヤーがぶっちぎりで勝ったためである。たぶんこのStoneは強すぎる。ただ、おそらくゲームとしてはバランスはとれていると思う。3戦目はK官さんと後輩Mの2人がこの戦略に走り、K官さんがぶっちぎりで勝った。つまり後輩Mはぶっちぎりで負けた。つまり、プレイヤー全員がマルチ力(まるちぢから)を発揮して、3人がExtra Power Pointに走ってつぶし合い、残りの1人が弱い戦略ながらもブルーオーシャンでプレイすればおそらくバランスは保たれる。しかし、そのためには全員のゲームへの習熟が要求されるし、このゲームの魅力の一つである程よいテンポ感がなくなってしまうと思う。基本的に長考を誘発しないゲームで、1手番自体はさっと終わってグルグルターンがまわっていくのがこのゲームの大きな特徴なのだが、上記のマルチ力(まるちぢから)を発揮するためには、頻繁に入れ替わる場のカードとアーティファクトを常にチェックし続け、手番が来るたびごとに、自分の手を進めるか、妨害するかを考慮しないといけなくなってしまう。このため、健全なゲーム環境を担保するためExtra Power Pointは禁止となります。

 Kickstater限定の追加のRune Stoneがあるので、これと入れ替えれば良いだけなのは助かった。

 

 それにしてもぶっちぎりで負けても面白いと感じるのは、良いゲームだと思う。ただ、万人が同じように特別良いとは感じないだろうな、とも思う。このゲームはRune Stoneの組み合わせでだいたいの方向性を決めて、その大まかな戦略にだいたい沿った内容になるように手番を考えて実行していく。場に展開されているカードやアーティファクトはコロコロ入れ替わるので、綿密なシミュレートは要らないのだ。そして手番直前に場がひっくり返ってしまっても、「じゃあこちらのアクションをやっておくか」という次善策がシステムに用意されている。つまり、場が入れ替わることによるままならなさと、自分の考えた戦略通りに手番が実行できていくという心地よさが、同じ時間軸、同じ手番内に、奇跡のように同居している。この「戦略」はRune Stoneの選択、Rune Stoneを取る数、アーティファクトの取り方、カードの集め方、と縦横斜め奥行きすべてに用意されていて、ひたすら「よし、だいたい考えた通りにできてるな」という満足感を与えてくれる。反面、身を焦がす強烈なジレンマやコンボによる圧倒的な爽快感はない。そういったゲームももちろん面白いし好きだが、それでもこのゆるふわなジレンマと心地よさの同居するゲームを、私は愛する。