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Time of Soccer/タイムオブサッカー ファーストインプレッション

3/10

数寄ゲームズさんから直接指摘がありまして、自分がルールを理解していなかった部分を修正しました。

 

 ようやく我が家でもキックオフを迎えることができる2020-21シーズン。オレンジのシャツを着て新潟の柿の種を主食とする勇者が参加でき、尚且つプレイ人数マックスの/4人会を待ってようやく開幕したのであった。

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Time of Soccer

 ゲームとしては堂々120分を唄う重ゲーなので、まず1戦目は4週目(=5ラウンド目)で順当に協議終了。ある程度の見通しを掴んだところで2戦目に突入するよくある流れ。我がアトレ・・・じゃなくて赤と白の縦ストライプをエンブレムにあしらう我が地元チーム「Mojea」は、1回目と打って変わって苦しい経営を強いられる。プレシーズン中にTV契約も広告契約も取れず、その代わり選手契約数で先行するも、序盤の試合でダイスが振るわず勝てない⇒ファンが増えない⇒収益が悪化⇒選手も契約できないという負のスパイラルであっという間に他の3チームの経営に置いて行かれてしまう。リーグの順位もぶっちぎりの最下位で(一応NPCチームよりかは僅かに上といった順位)、しょうがないので起死回生を期して、シーズン中にも関わらず集金目的のフレンドリーマッチを強行開催する。疲労度が溜まるので週末のリーグ戦を手を抜いて戦わざるをえないのだが、ダイスの妙でここで後輩Mの指揮するソシ・・・じゃなくて緑と白のエンブレムの「Legartos」相手にドローをもぎ取り、カップ戦狙い戦略に一縷の望みをかけることができるだけの経営状態に回復した。

 自分以外の3人は、水曜日のカップ戦は手を抜いて、直接勝ち点を稼げるリーグ戦に注力する。華麗なアタッキングフットボールを極める後輩MのLegartos。ゲーム中の攻撃レベルは実に11にも達し、特に右サイドを中心とした攻撃で観客を魅了する。しかし攻撃は水物で、10戦以上も戦えば1~2試合はゴールを奪えない時もあり、試合内容を正しく反映した勝ち点までは稼げず2位に終わる。勇者率いるレア・・・じゃなくて白地に優勝回数を誇る星をエムブレムにあしらった「Mollerusa」は、まだチームが整のっていない序盤戦を運よく勝ち切り怒涛の開幕6連勝。ただし我がMojea同様広告契約を上手くつかめず経営状態は途中から火の車。後半戦は2チームに追い上げられるも、序盤のリードを活かして何とかリーグ戦を制したのであった!しかし、ゲームの勝ち点ではなんと最下位!経営悪化で選手を売りまくったあげく、まとまな代わりの選手を補強できないフロントに愛想をつかしたファンからの評価点がもっとも低く、チームの完成度も低くてそこの評価も得られず、リーグ優勝してまさかの最下位という凄いんだか空しいんだかの結果となった。

 (ゲームとして)勝ったのはK官さんのヴィジャ・・・じゃなくて黄色を基調としたエンブレムの「Palmeras」。マルコム・グレイザーも真っ青の徹底した拝金主義を掲げ、我が「Mojea」が断腸の思いで開催したシーズン中フレンドリーマッチを開催しまくる。オーナーの金稼ぎにチームのエネルギーが費やせられ、当然チームはリーグ戦では100%の実力を出し切れない。ゲーム途中までは週末の試合で手を抜くも、ダイスに助けられてかろうじて順位を維持する展開が続く。Palmeras地元サポーターはこの不甲斐ない試合内容に激怒してオーナー自宅を襲撃する事件を起こしても良さそうなものだったが、序盤に優秀なコミュニティマネージャーを雇ったのが功を奏し、負けても引き分けても上手く地元ファンを誘導して、逆にファンの満足度は高まり続けてファン数は増加。さらにフレンドリーマッチで海外ファンも開拓し、(ゲーム上の)ファン数はカンスト。増えた入場料収入でさらに稼ぎ、そのお金で優秀な選手とコーチをかき集め、リーグ戦でも2位に食い込み、見事ゲームでも勝利した。

 我がMojeaはカップ戦を制せなかったのが響いて3位。他の3人がカップ戦を捨てたのが逆に厳しく、週末のリーグ戦があるからと言って手を抜くことのないNPCチームとの戦いを余儀なくされ、名もないアマチュアチームに決勝で敗れてしまった。

 

こちらは無かったことになった1回目のゲームでのMojea

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序盤早々に広告も契約出来て、優秀な代理人も確保できて選手の数も順当だったんだけどなぁ。

 

 まあゲームについて言いたいことは色々ある。まずもっともネガティブなことは、情報量が多すぎる・・・ことはまあ言うまい。こちらもそれを覚悟して、いやある意味望んでこういうゲームをしているのだ。やはりルールライティング部分だろう。ルールとして必要な情報と、フレーバーとして必要な情報の切り分けができてないばかりか、プレイの例示もフォントや背景色を変えずに始まるので、非常に読みにくい(プレイ例は英語ルールブックでは背景色が付けられていたので、ここは数寄ゲームズさんにもうちょっと頑張って欲しかった)。″これはどういうルールだっけ?”とルールブックを確認するたびに困った。例えば、サイドバックしかできない選手が持つ、ウィングとしての数値に何の意味があるのかとルールブックを何度も読み直してしまった(戦術変更で攻撃参加する際にはサイドバックではくウィングの数値を適用する、というルールだったのだが、結局この日は間違ったルールでプレイしてしまった)。あとは▲とか◆の記号しか印刷されていない連携/戦術用マークも、ルール説明文中に堂々と◆はPass、●はCross、という表が紛れ込んでいて、ルールの読解を困難にしている。パスやクロスがフレーバーで、ゲーム中は記号だけ見ていればよい、というのは結局ゲームが終わってからやっと理解できた。いっそ「サリーダ・ラボルピアーナ」とか「5レーン攻撃」とかもっと専門的な名前を付けておいて、事細かに戦術上の意味を唐突に語りだしてくれれば、″ああ、これはフレーバーだな”と察知できようものを・・・(もちろん欄外に枠を設けてくれるのが一番良いです)。あとはマーケットデイのロンデルがなぁ・・・。ここはもう少しスマートで時間のかからないシステムがあったのではないかと思う。特に経営を上手く表現できているとも思えないし。

 ただ、サッカーのボードゲームとしては間違いなく面白い。試合そのもではなく、チーム作りに焦点を当てたのが上手いし好みだ。組織作りというサッカーを越えた普遍的なテーマのおかげで、サッカーに興味のない人でも楽しめる造りになっている(120分ゲームを楽しめるかはまた別だが、我が家ではその点の心配は幸いにして無いのがありがたい)。ダイスのたった2回振り勝負といえども試合自体も良く表現されていると思う。いくら攻撃力がすごくても時には無得点で終わることがあったり、実力差の激しいチーム同士の試合でも、何となく2-1の決着に落ち着いたりする。いかにも現実のサッカーでありそうな展開だ。試合の無い場面でチーム構築に奔走し、少しでも良い選手、少しでも良いスタッフ、少しでも良い広告契約を求めてさんざん労力を使った後は、実際の試合ではサイコロを2回振るだけというのも、経営や監督視点では確かにそうだろうなぁ、とも思わせられる。

 日本代理店の数寄ゲームズさんによると、スペインの同人上がりのゲームということだ。確かに様々な面で同人らしい粗削りな部分がある反面、サッカーそのものの多くの面を愛していないと作れないゲームだろうと思わせられる。各ポジションの選手を選り好んでチームを作り上げるという表現ではなく、まともな選手の頭数を揃えるのにも四苦八苦というゲーム上の表現は、これぞアメリカンスポーツではない、格差・差別が当たり前のヨーロッパサッカーそのものの世界だ。サッカーを知らなくてもボードゲームとして面白く、サッカーを知っていれば「なるほどね」と頷ける、傑作とはいかないまでも、怪作と言っていいボードゲームだろう。