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The Artemis Project

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The Artemis Project

6月16日

BGG:https://boardgamegeek.com/boardgame/254713/artemis-project

KS:https://www.kickstarter.com/projects/697528475/the-artemis-project/community

 

KickStater始めて間もない頃に雰囲気だけでバックしたボードゲーム・・・のはずなのだが、どんな世界設定のゲームだったかルールブックの導入部を読むまで忘れていた。木星の第2衛星「Europa」が舞台。エウロパは水で出来た衛星で、地表では氷で覆われた世界が広がる。しかし、衛星内部で発生し続ける超自然的なエネルギーが内部の水を液体に保ち、そのエネルギーや水で人類の衛星での活動を可能にしたり、地球外生命体がいる可能性がある、という1つの説の下での世界観で展開されるゲームである。今改めて読んでも結構イケてるね。忘れてたけど。去年の10月のことだからね、仕方ないね。

 

ゲーム内容は、ダイスを5個振って出た目でワーカープレイスしてエウロパの開発競争をする。

多少はツールキットを使ってのダイス目の調整はできるが、基本的には出た目の大小でダイレクトにプレイスからの押し出し合いをする。なので、遊ぶ前はダイスの大小の運がどのようにゲームデザインされているか、興味深く思い、設定と合わせて1人テンション上がっていた。

さて、そのシステムデザインは、ゲーム内の6種のプレイスが、大きいが正義、小さいほうが有利、真ん中だと便利、とそれぞれデザインされていて、そのバランスが絶妙だと感じた。事実、後輩Mが最初のラウンドで11124とか振ったり、途中自分と大仏さんが66652とか振ったりしたけど、それで破たんしたり極端に無双したりはなかった。ただ、『ブルゴーニュの城』のようにダイス目の大小に意味を無くしたり、『ロレンツォ・イル・マニーフィコ』のようにプレイヤー間の差を無くしたりして、ゲーム的なバランスをとっているわけではない。大きい目で固まったら「よっしゃ、このラウンドは探検で無双できるぞオラ~!」とか、「この1で建物たてられたら美味しい!美味しいがあまりに無防備すぎる・・・」とか、大小の意味がちゃんとあるのが良い。つまり「いい目出ろ~いい目出ろ~」というダイスを使うゲームの一番の興奮ポイントを担保しながら、そのダイス目の格差でゲームが傾くことのないデザインになっていて、見事である。逆に言うと、ダイスの大小にあまり意味を持たせないデザインにしながら、プレイヤーにはしっかりと「6ゾロ出ろ!」と念じさせてダイスを振らせるのに成功している。この辺りはやり込めばあまり大小に一喜一憂しなくなって、それこそ『ブルゴーニュの城』や『ロレンツォ・イル・マニーフィコ』のように何かを表す記号と捉える感覚になっていくのかもしれないが、そこまでやりこむのなら相当入れ込んでいるということで、杞憂であろう。

 

この日は5人でHarsh(上級?)モードでプレイ。結論から言うと、5人プレイは良くなかったがHarshモードは必須だった。

5人だとまずダウンタイムが長い。まあそれはどのゲームでも一緒だが、5人だと資源がちょっと多すぎてあまり取り合いにならないので、それも良くなかった。(ちなみにHarshモードじゃない通常モードだと資源がさらに溢れるので、通常モードではプレイしない方が良いだろう。)プレイヤー人数マイナス1枚のカードをめくって、カードに書かれた合計でそのラウンド内の資源の量が決定され、そのカードの取り合いもするので、例えば3人で2枚分を取り合うのに比べれば、5人で4枚分を取り合う方が断然ぬるくなる。実際、押し出されたダイスワーカーの救済措置が、ゲームを通じてあまり発動しなかった。「救済措置は1人5回で打ち止めだから気をつけてね!」というルールがインクの染みで終わってしまった。

さらに、5人だとダイスワーカーの数が合計25個となるので、毎ラウンドどうしても平均的になってしまう。例えば3人プレイで6ラウンドもやれば、6の目が誰にも無いラウンドとか、全員2ばかりのラウンドとかが発生するはずであるが、5人だとそういったことが確率的になくなってしまう。なので、毎ラウンド毎ラウンド1の目は入植者を取りに行き、5~6の目は探検に行き、234で資源の確保と建物の建設という光景が繰り返された。もちろん個人視点では大きい目に偏ったり小さい目に偏ったりして毎ラウンド違う選択をしなければならないのだが、5人プレイではマクロの視点で感じられるはずのゲームのダイナミズムが失われてしまっていたと思う。

というわけで、次回は3~4人でプレイしてみたい。プレイ人数が少なくなると、ダイス目の偏りでまた違った顔を見せるのではないか、と期待できるゲームである。そして少なくとも是非またプレイしたいと思えるゲームだったことは確かである。