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翡翠の商人

作者のデザインノート:http://spa-game.com/?p=5093

 

わざわざ自分が取り上げることもないほど、たくさんのプレイ記があるだろう人気タイトルなので、書こうかどうか迷っていたが言いたいことが1つあったので書く。

 

その言いたいこととは、「5人でのプレイはお勧めしない」である。3人プレイ、4人プレイ、5人プレイをそれぞれ2回ずつやっての感想である。

もともと購入予定はまったくなかったのだが、ナショナルエコノミーは初代からのファンでメセナも購入して楽しませてもらっている。その関係でうっかりと上記のデザインノートを読んでしまったが最後、「これ絶対うち向きのゲームじゃん!」と直観が走ってしまったのである。イエローサブマリン秋葉原RPG店にしっかりと在庫があったのも間が悪かった。そしてそこでの記憶が曖昧なのだが、グローリーまで一緒に買ってしまっていた。

翡翠の商人は最初は3人、次に4人でプレイして、どちらも唸るほどの楽しさだった。後輩Mも「さすがスパ帝!さすが!さすがっす!」とはしゃいでいた。そのゲーム内容や具体的な面白さはデザインノートを読んでもらえれば良いので、さっさと5人プレイの話に移ろう。5人プレイの場合、一人当たりの最終得点が下がってくるので、金の8や7が鬼のような強さになってしまう。実際5人プレイのどちらも、初手で「1枚!」と叫んで8金を取り、その後「1枚とって1枚返す!」と叫んで7金を取っていったプレイヤーが勝った。このプレイングは確保総枚数も少なくなるのだが、5人だと相対的に香辛料の価値があがるので、総枚数確保が絶対の条件になる本や翡翠を捨てて4香辛料をピンポイントで確保することも絡めて少数精鋭で成り立ってしまう。2回のプレイでどちらも最初に8金がめくれたことも良くなかったが、7金でも同じような戦略になるので再現率はそこそこ高いと思われる。破綻するとすれば、途中高い数字の金が固まってめくれてしまうことだが、逆に言うとそれ以外では成り立ってしまう。もう1つ、8金を取られた後に誰かが「1枚取り1枚捨て」で7金を無理やり確保することだが、相手は8金を取ったのに自分は7金を取って1枚捨てるなど、誰もやらないであろう。

 

というわけで5人プレイではめくり運が良くないと面白くならないバランスなのだが、3人と4人のプレイはヤバくて凄い。とにかくわずかの「甘え」も許されないのである。今まで遊んだのことのある競りゲームは、思えばいくらかの「甘え」が許されていた。“4金だと良いな~、5金でもまあ許容できるな~”からのあわよくばで「3金!」と言っておいてから、5金まで釣り上げられても、“6金でもいけるかな~どうかな~”というのが今まで遊んできた競りゲームだった。これまで大した数のゲームを遊んで来なかったということでもあるのだが、今思えばそれらは甘えだった。対して『翡翠の商人』では、常に自分が攻めることができる一番の先端を、自分の中に探し続けなければならない。“2枚取り1枚捨てが苦しくても許容できる本当のギリだな”と思ったら、「2枚取り1枚捨て」と宣言しなければならない。あわよくばで「2枚!」と宣言しようものなら、すかさず隣が「2枚取り1枚捨て」と宣言して、もう降りるしかなくなってしまうのである。犠牲を伴って2枚確保がギリのラインで、「1枚」の宣言はできない。少し甘えて余力を持ってブレーキを踏んでしまったら、そのラウンドはもうそこで終わってしまうのである。引いてはそこからゲーム終了までのプランが破綻してしまう。このゲームにおいて、周りの出方を探りながら相場観を確かめることはない。競り勝たなければならないものは自分の中にある。細くても勝利に至る一本の綱を見つけたら、断崖に向かって足を踏み出さなければならない。もう少し幅の広い橋はないかと辺りを見回したら最後、目の前の綱は消えているだけである。